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昨今、葬儀業界のM&A(株式譲渡・事業譲渡)が活発になってきています。
特に最近の傾向では譲渡されるオーナーの若年化が進んでいます。
その裏側にあるのは、2040年問題。
この先、事業承継を考えなければならない葬儀社オーナーは是非お読みください。
〇この記事を読んでわかること
①葬儀業界でM&A(株式譲渡・事業承継)が活発化している理由
②葬儀社がM&A(株式譲渡・事業承継)を行うメリット
③葬儀社を譲り受ける際に見るべきポイント
目次
コロナ禍において葬儀業界は葬儀の規模が小さくなり単価の下落に直面しました。
2022年6月現在もその傾向が続いている葬儀社もありますが、各社企業努力により、単価の向上、生産性の向上等の施策をとることで、業績はある程度戻ってきています。
特に、コロナ前から続く家族葬の波にのり家族葬式場の展開を進めてきた葬儀社にとっては、葬儀の小規模化が追い風となっています。
今後5年間は家族葬式場の出店の勢いは止まることはないと予想されます。
この流れは葬儀社のビジネスモデルからみても明白です。葬儀社の場合はドミナント展開を行うことで生産性が高まり営業益率が高まります。
葬儀の小規模化に対応する策として考えられることは、単価を上げるという点は企業努力としてはもちろんのことですが、大きな戦略としてドミナント出店を行いながら生産性の向上をはかり営業利益を田構えていくということが大切になっていきます。
出店の勢いは今後5年間は継続されると想定されますが、2030年に近づくにつれ式場の数も飽和状態となり投資回収の観点から考えると、徐々に出店数は減ってくることが予想されます。
葬儀業界のM&Aは2015年ごろから徐々に件数が増えてきており、現在もM&Aは活発化しています。
2015年ごろのM&Aは超高齢化社会に向け、日本では数少ない成長マーケットと期待されファンドが葬儀業界へ投資する、もしくは、他業種からの新規参入のためのM&A等が多くありました。
その後、2018年頃からは事業承継型のM&Aが増えています。
当時はオーナー経営者の親族内に承継者がいらっしゃらないことにより株式譲渡・事業譲渡を検討するという傾向が増えてきました。
当時の譲渡企業のオーナー経営者の年齢は60歳前後というのが一般的でした。
そして、2022年現在、少し潮流が変わり、売主のオーナー経営者様の年齢が若年化しています
40歳~50歳ぐらいのオーナー経営者様が譲渡を決断されるというケースが増えてきているのが実情です。
その理由は、葬儀業界が必ず直面する2040年問題にあります。
(※2040年問題は船井総研が提唱する造語となります)
2040年問題とは、業界の方はお分かりだと思いますが「死亡人口が減少していく」タイミングです。
現在、40~50代のオーナー経営者のご子息・ご息女のほとんどが10代であることが多く、
そのご子息・ご息女に経営権を譲ることを検討するタイミングが正に「2040年前後」に来ることになります。
つまり、これから業界が確実に縮小していくタイミングで、「子供達に苦労させるべきなのかどうか?」ということをオーナー経営者は悩み始めることとなります。
当然ですが、その時には将来性が乏しい業界と見なされ、企業価値がつきづらくなってきますので、2040年前後のタイミングで譲渡しようとしても、中々価値がつかないということもあります。
そうであるならば、早めに「株式譲渡」、もしくは「事業譲渡」を行いオーナー資産の最大化を行っておくことが最善の策であると考え、譲渡を決断される方も多くなってきています。
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船井総研はM&Aの成功の定義を「M&A後、譲渡した企業・事業が成長しているかどうか」をひとつの物差しとしています。
その観点から見ると、船井総研がM&Aの仲介を行い成約まで導いた葬儀社のほとんどは、「M&A後、業績アップ」に繋がっています。
例えば、上場企業に譲渡した会社様の例でいうと、M&A後、3年で売上が2.5倍になった葬儀社、1年で葬儀施行件数が2倍になった葬儀社などあります。
上記の両者ともオーナー経営者様は株を譲渡した後も経営者として留任し、しっかりと自社の経営を行なわれています。
M&Aをすると会社がなくなってしまうと思われる方も多くいらっしゃいますが、そんなことはなく、前述の2社は「会社名」・「屋号」・「社長」は全て残ったまま、株主だけが変更されたという形になります。
それ以外にも葬儀社が墓石企業を買収したことにより、相互のお客様の紹介をしあうことによって、葬儀の売上、墓石の売上共に向上したという事例もあり、M&Aをただ売った、買ったの話で終わらせるのではなく、M&A後どのように企業が発展していくのか、にも着目してM&Aという手段を一つの成長戦略としてとらえることが大切です。
非上場企業の場合、株式を現金化することが中々できません。次の世代に譲るときは相続税、ないし贈与税を払い譲っていかなければなりません。
つまり、オーナーの財産ではあるものの流動性が低く、最終的には税金を支払うだけの財産となってしまいます。
一方で、株式を譲渡するということは、株式の価値を対価として受け取ることができるため、オーナーには現金が入ってくることとなります。また、株式価値の啓ってい方法は税務上の株価ではなく、譲り受け企業が企業価値を算定することになりますので、「のれん代」が価値としてプラスになることになりますので、オーナー資産を最大化することができます。
ただし、どれだけの「のれん代」がつくかは会社によって異なりますので、詳しくはM&Aの専門家にご相談ください。
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式場を建設する際に銀行からの借り入れを行っているオーナー経営者様の多くは個人保証をいれているのではないでしょうか?
株式譲渡を行う際は銀行借入も含めて譲り受け企業に譲渡することになりますので、個人保証も外れることになります。
企業を継続していくためには後継者を誰にするのか、という問題は常に付きまといます。
ファミリー企業の場合は、家族・親族の中から後継者を探すということが一般的ですが、お子様が事業を引き継がず別の企業に就職している、お医者様になったなどもよく耳にします。
そうなると誰に後継者を任せるか、更には前述したよう2040年問題を迎えることがわかっているにも関わらず困難な道を任せるのか等、現オーナー経営者は頭を悩ませることになります。
株式譲渡をした場合は、後継者は株主となる譲り受け企業が探すことになるため、一つの悩みが減ります。
あくまでもM&Aを行う際の条件次第になりますが、株だけを譲渡し、経営者として留任するという選択肢もあります。
つまり、オーナー資産を最大化し、個人保証が外れ、後継者問題を気にすることなく、経営に集中することができるようになるのです。
葬儀社をM&Aする際に気を付けなければならないポイントは主に3つあります。
①労務関係が法を遵守しているか
②建物が法を遵守しているか
③将来の見込み顧客はどの程度いるのか(会員数・現状の受注内訳)
葬儀社は24時間365日営業を行なわなければならない業種のため、残業代や休みが規定通り、あるいは法を遵守しているかどうかということはチェックしなければなりません。
もし守られていない場合、株式譲渡後に労働裁判等に発生した場合、さかのぼって残業代をしはらわなければなりません。
M&Aで争点になるのは、この残業代を誰が支払うのか?という点になります。
一般的には、表明保証という形で、もし労働裁判になり支払が命じられた際は、前オーナーが保証することになります。
デューデリジェンス(買収監査)を通してどの程度のリスクがあるのかを見極め、しっかりと株式譲渡契約書の中には表明保証の内容を盛り込む必要があります。
事業譲渡契約の場合は、雇用契約に関してまき直しとなるため、過去の労働問題に関しては過去所属していた会社が支払うことになるので、リスクは減ることとなります。
葬儀場の用途は集会場になります。集会場の用途で申請されているか、確認申請書があるか、検査済み書があるか、など建物自体の法を遵守しているかチェックする必要があります。
「今まで営業してきているのだから良いじゃないか?」と思われる方も多いのですが、大手企業になるとこの辺りを守っていない建物があることを嫌がります。
万が一、式場内で事故が起きた場合、建物が法を遵守していないとなると非常にリスクが高くなります。
譲り受け手によっては、この辺りを気にしない会社もありますが、先ずは自社の建物の用途が集会場になっているか、確認申請を行っているか、検査済書があるか、消防完了検査を行っているか、等今一度建物が法を遵守しているかをチェックしましょう。
譲り受け企業にとって重要な事は、譲り受けた後に事業として成長ができるかどうかという点もあります。
葬儀社において重要な点になってくるのは、既存の会員数が何世帯あるのか、という点になります。
会員数が多ければ多いほど、将来の施行件数も安定してくる傾向にあります。
現状の施行件数内訳が、会員施行が何%、非会員施行が何%、ポータルの紹介件数が何%、病院や施設からの紹介が何%であるか等をしっかり抑え、どの程度は安定的に施行が入ってくるかの予測をたてましょう。
その上で、会員を集めるためのマーケティング計画、新たな出店ができる地域制なのかどうかなどを分析しながら将来の売上予測を立てていくことが大切です。
「2040年問題」に向けてM&Aが活発化してくることが予想されます。
特に2028年ごろまでは売り手市場になり、企業価値がつくことが予想されますが、2028年以降になってくると買い手市場となり企業価値がつきにくくなることが予想されます。
御社が譲り受け手に回る場合、譲渡に回る場合、どちらにおいても経営を長期的な視点で見つめ、M&Aをどのように活用していくかを見極めることが大切となります。
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