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コンサルタントコラム

  • M&A事業承継

葬儀社の経営存続に向けた事前準備とM&Aの実態

【執筆者:

皆様、こんにちは。M&Aコンサルティング事業室の中野と申します。

弊社の事業室では2018年の1年だけでも3社の葬儀社のM&A成約をご支援させていただきました。他にも葬儀社の経営者様より事業承継・M&Aに関するご相談を多くいただいております。

今回は、その中で弊社が培った葬儀社の事業承継・M&Aに関するコラムとして、「葬儀社の事業承継・M&Aの極意」と題しまして、葬儀社として事業承継とはどうすればいいのか、M&Aで買い手、売り手双方に対応したポイントを解説致します。

 

①なぜ今、葬儀社のM&Aが急増しているのか

M&A自体が今や中小企業においても身近な経営戦略の一つとして多く見受けられるようになりました。
葬儀自体がコンパクト化に向かい、家族葬専門の葬儀社も今や珍しくありません。

葬儀のポータルサイトが登場し、受注形態にも変化が現れ、葬儀ビジネスは競争激化の一途をたどっています。

幸いに葬儀の施行件数は今後も増加傾向にあるのは、内閣府が公表している「出生数及び死亡数の将来推計」からも明らかで、安定した利益を得やすい業種の観点から、異業種、ファンドからも葬儀ビジネスは注目を集めています。

また業界自体に圧倒的な一番店がはっきりとはないことから、拠点の確保を急いでいる大手が多い様に見受けられます。そのため、現在葬儀社のM&Aの買いニーズは極めて高い状態が続いています。

一方で、葬儀社の経営者の平均年齢も日本の中小企業経営者の平均年齢と同様に高齢化が進んでいるものの、事業承継が円滑に進んでいる状況にはありません。

本来は事業承継しなければならないが”できない事情”が葬儀社にはあり、売りニーズを高める要因になることからM&Aが急増する事態となっているようです。

 

 

事業承継をお考えの経営者様がお考えのこと

 

例えば事業承継のタイミングが到来している経営者の心理として

・自分はほぼ休みなしの状態で葬儀社を苦労しながらも運営してきたが、子息に同じ苦労を味合わせたくない

・自分の代でも葬儀ビジネスの変化が激しく、厳しい経営環境の中で、次世代がそもそもやっていけるのか不安がある

・自社の周囲に競合が乱立し、戦略的な拠点展開ができない中、今後に不安がある

・自社の借入金がまだ多く残っており、拠点展開のための資金調達が当面できないことから次世代の運営に不安がある

・子息へ承継した後の人事体制に若手がおらず、新規採用も不安がある

などの要因があり、事業承継と葬儀社業界のM&Aのタイミングが合致していることから、葬儀社としては、いずれにせよ「今が次世代への事業承継を考えるタイミング」であることをご理解いただくこと、M&Aに関する情報を集めておくことで先手を打つことをお勧めいたします。

 

②葬儀社を売却する際のメリットとデメリット

M&Aが増えるということは、事業承継ができないからだけではございません。
M&Aにおけるメリットがあるからです。M&Aにおける買い手と売り手それぞれのメリット・デメリットは以下のようになります。

 

【M&Aにおける買い手・売り手のメリット・デメリット】

売り手の観点からメリットを見ていくと、M&Aにより会社の株式または事業が現金化できるというのがやはり大きな要因になります。特に現在、葬儀社のM&Aにおける企業価値は一般的な業種よりも高い価値がついており、まさに売り手市場となっています。

次に会社・事業が自社よりも規模が大きい企業が引継ぎ、今までやりたくても資金不足または借入を懸念して、進んでいない拠点展開を、資本が投入されることで飛躍的に出店スピードが上がります。

また買い手が持っている経営ノウハウも加わることで盤石な経営体制を目指すことができます。

余談ですが、自身の育てた会社が上場を目指す会社にステップアップし、経営幹部や従業員のモチベーションが上がったという事例もございました。

またM&Aを実際に行った経営者様に「M&A後に良かったと思う事は?」と伺った際に非常に多いのが、「会社の銀行借入金の連帯保証人や自宅の担保がはずれてホッとした」というとても素直なご意見です。

葬儀社は装置産業のため、よほど資金が潤沢にない限り銀行からの融資が必要になります。当然、社長が連帯保証人になり、自宅の担保がついているケースも多くあります。

経営者にとって、この借金があることで気持ちに余裕がなく、M&Aによってその足かせが外れたときの安心感は確かに大きいようです。

 

もちろんM&Aはメリットだけではございません。

会社を売却して、役員・従業員として会社に残るということが状況によっては可能ですが、いずれにせよしっかりと条件の調整を図っていくことが大切です。

また、M&A後の経営者自身のセカンドライフを考えておく必要があります。

・会社に残るか引退するか

・会社に残る場合の自身のポジショニング

・引退する場合のセカンドライフのイメージ

M&A後に焦燥感に苛まれないように、ご自身の事もしっかりと考えておくべきです。

葬祭業におけるM&Aについては、こちらの記事もご覧ください。
葬儀業界のM&A(事業譲渡・株式譲渡)の時流

 

 

 

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船井総合研究所|中野宏俊

M&Aグループ
マネージャー
中野 宏俊

前職では会計事務所における税務・経営のコンサルティングに従事。主に事業承継・事業再生コンサルティングの実務経験を多く持ち、この経験を活かし、船井総合研究所入社後、約半年間で2件のM&Aを成約。現在葬祭業を中心としたサービス業、製造業中心にM&Aコンサルティング業務に従事している。

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