ここ10年で家族葬が一般化して来たのは周知の事実ですが、近年では火葬式や直葬と言われるカテゴリの構成比が20%~30%に達するようなエリアも出てきています。
こういった新しいカテゴリの商品が台頭してくるときに葬儀社の現場ディレクターから上がる声は「〇〇(商品カテゴリ)はお客様が最初からこのプランで!と決め打ちしてくるから商談で単価を取りにくい」ということです。
最近、お客様先の会議で、帳票を見ながら、全体の平均単価の下落や火葬式の話に触れるとほぼすべてのご支援先でそのような話が出てきますし、そのように感じている経営者様も非常に多くいらっしゃいます。家族葬の時も同じ現象が起きましたが、今まさしくその現象が火葬式等でも同様のことが起きています。
こういった時に気を付けておかないといけないことは、平均単価の下がり方と同時に、実際にはどのような商談が現場で行われているのかということです。
1)平均単価の数字に関して
まず、平均単価の数字に関してですが単純な平均単価と同時に、プラン単価や葬儀本体単価
(食事・返礼品除く)がどう推移しているのか、一般葬、家族葬、直葬のそれぞれの平均単価の推移、構成比をみていくことが必要です。
全体で見て平均単価が上がっている、下がっているというレベル感でなくその下がっている原因がどういうところにあるのかを突き詰めていくことが大切です。
もちろん個人別の成績も必要ですが、個人の成績よりも、上記のような要因の追求ができる数字をしっかり押さえることが先です。そのうえで上記のような数字の個人版を分析できると尚よしです。
2)現場で起きていることに関して
次に現場で実際どのようなことが起きているかという客観的事実を知る必要があります。家族葬や火葬式の市場全体の構成比が増えると当然ながら単価は下がりやすい傾向にあります。しかし、年単位で見て著しく単価が下がってしまっている会社を見ると原因は市場全体の動きに飲み込まれてしまっている傾向が強いように感じます。
上記のように家族葬や直葬のお客様に金額を決めることを含め主導権を握られていて、お客様を中心に商談が進んでいます。結果として提案できないまま商談を終えてしまっている為、単価下落を防ごうにも防げないという現象が起きている会社が多々あります。これは数字だけでは読み取れず、ロープレや同行等を通してしか発見できません。
業界自体が上り調子の時はいいですが、全体として下がり調子の市場ではこういった細かいところをしっかり見るマネージャーやマネージャーの役割をはたしてくれる存在がいないと歯止めがきかなくなります。
市場のトレンドを受け入れ、単価よりも利益率にフォーカスしていくのは当然ながら、あまりにもそれが当たり前になってしまうと築けば危険な状態のPL構造になっていたなんてことも起きてしまいます。
皆様こんな時代だからこそしっかりとこのような数字に着目して下がり調子の市場の波をしっかり乗りこなしていくような経営を心掛けましょう。