こんにちは、船井総研の山下です。
今回のコラムでは、葬儀社の課題別に、最新マーケティング事例を3つご紹介します。
目次
皆様のエリアでも、ここ数年で大手競合他社の出店が相次いでいるのではないでしょうか。
特に積極的に出店を進める大手葬儀社の特徴として、中小企業に真似しずらい、圧倒的な販促費を背景にした「量」による認知獲得があります。例えば週1回以上のチラシ折り込み、リスティング広告への高額投資などがあります。この販促量に正面から対抗するのは、地域密着型の葬儀社にとって現実的ではありません。
実際、大手競合の出店後に地域シェアや施行件数が落ち込んだという声も多く聞きます。「広告を出しても反応が薄い」「チラシの効果が以前より落ちている」と感じている経営者の方も多いでしょう。
そこでご紹介したいのが、足元商圏に絞ったマーケティングの事例です。
ある葬儀社では、近隣に大手葬儀社が3店舗、ドミナント方式で同時出店した影響により件数が減少していました。そこで方針を転換し、折り込みチラシをやめ、車で5分圏内の商圏にポスティングを集中させました。
紙面の内容も大きく変更しました。価格訴求やプラン説明ではなく、地図と式場外観を全面に出した立地訴求に切り替え、「○○地域の方へ」と明記した地域限定チラシを配布しました。
また、足元商圏への認知獲得だけではなく顧客一人一人を大切にし、会員数と会員からの施行率を重視する方針に転換。新規獲得のためのイベントと、イベントによく来館してくれるファン客のためのイベントをそれぞれ毎月実施し、新規獲得⇒ファン客化⇒施行、という流れを従来以上にスムーズに行えるようになりました。
結果、足元商圏からの認知と来館数が増えるだけではなく、会員施行率もアップし、1式場で前年比15件の件数アップを達成しました。
大手に勝つポイントは、販促量ではなく「距離」と「地域性」です。
足元商圏に集中した戦略は、今後さらに重要になると言えるでしょう。
近年、「直葬9万円」といった広告を目にする機会が増え、葬儀業界の価格競争は一層激しさを増しています。価格を下げれば集客できるように見えますが、その競争についていき続けるのは、体力的にも精神的にも大きな負担となります。
また、価格訴求で集まるのは、基本的に「とにかく費用を抑えたい」層です。この層は比較検討も激しく、価格差が出れば簡単に他社へ流れてしまいます。結果として、単価は下がり、現場の負荷だけが増える――そんな悪循環に陥っている葬儀社も少なくありません。
一方で、価格競争に参加せず、年間100件以上の施行を安定して獲得している家族葬式場も存在します。この葬儀社では、直葬や低価格プランを前面に打ち出すことはしていません。チラシで訴求しているのは、安置室のみの案内や事前相談への誘導など、「今まさに困っていること」に絞った内容です。
さらに式場としての方針を明確にし、家電の使い方がわからない方は直接出向き無料でのサポートを行うはもちろんのこと、庭の伸び切った植木まで切ったり、郵便物を代わりに受け取ったりなど徹底的な顧客志向でサービスを行っており、小さな商圏で多くの方に愛される会社づくりを行っています。この28年間、大手家電量販店の出店やネット通販の増加にも関わらず、黒字を出し続けておられます。
年々、「内装が綺麗でコンパクトな家族葬式場」は確実に増えています。少し前までは、“きれいな家族葬式場”というだけで十分な差別化になっていました。しかし現在では、その水準が当たり前になり、式場の見た目だけでは選ばれにくい時代に入っています。
その結果、何が起きているかというと、差別化の軸が価格に寄ってしまい、葬儀社同士の価格競争が加速しているという現実です。設備も規模も似ている、では最後は「安いところ」が選ばれる。これは多くの経営者が危機感を抱いている状況ではないでしょうか。
だからこそ、これから考えるべきは価格や式場力以外での差別化です。
船井総研には「差別化の8要素」という考え方があります。重要度の高い順に、
①立地力
②規模
③ストアロイヤリティ(ブランド力)
④商品力
⑤価格力
⑥販促力
⑦接客力
⑧固定客化力
という8つの要素です。
多くの葬儀社が重視しがちな式場力は、「規模」や「商品力」に該当します。しかし、それより上位に来るのが立地やブランド力です。また、葬祭業における商品力とは、式場そのものだけでなく、プラン内容や施行品質まで含めた“提供価値”を指します。立地については前述の通りですので、ここでは割愛します。
この考え方に着目し、ある葬儀社では「老舗であること」「信頼できる葬儀社であること」を前面に打ち出した販促に切り替えました。価格は一切表に出さず、代表直筆の葬儀に対する想い、実際のお葬式の事例紹介、スタッフが顔出しで想いを語る写真などを掲載。徹底的にブランド力や信頼感を伝える内容に振り切ったのです。
その結果、毎月の相談数は約3件増加しました。
式場がどこも似ているからこそ、これからの葬儀社に求められることは、式場・価格以外での差別化と言えるでしょう。
今回は課題別に最新のマーケティング事例を3つご紹介しました。
大手の競合が加速し、家族葬式場が主流になるだけではなく価格競争が加速している今こそ取り組んでいただきたい事例ですので、ぜひご参考にしてください。
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