2025年の葬儀業界は、近年の潮流とは異なり、一部エリアで死亡数が横ばい、あるいは減少に転じるなど、大きな転換点を迎えています。
また、専門葬儀社によるM&Aの活発化や、葬儀ホールの建築費高騰など、外部環境も厳しさを増しています。
このような変化の時代において、葬儀社が今後も持続的に成長していくためには、どのような視点が必要なのでしょうか。
今回は2026年に向けた葬儀業界の未来と、取り組むべき3つの重要な戦略をご紹介します。
目次
今後の業界動向として、まず挙げられるのが「大手によるM&Aのさらなる増加」です。土地探しや人材採用・教育にかかる時間を短縮し、スピーディーに展開エリアを拡大する手段として、M&Aがトレンドとなっています。
また、新規出店の動きとしては「人口20万人前後都市へのドミナント出店」が予測されます。これは、特定の市町村内にあえて複数店舗を集中させる戦略です。商圏が被らないギリギリの距離感で店舗網を築くことにより、広告効率や業務効率、収益性を最大化することが狙いです。
このように、業界全体として「集約」と「効率化」の流れが一層加速していくことが予想されます。
こうした大手の動きに対し、地域で確固たる地位を築いてきた「地域一番店」は、今後二極化していくと見られています。
一つは、M&Aや出店によってさらに売上を伸ばし、「市町村ナンバーワン」から「都道府県ナンバーワン」を目指す拡大路線。
もう一つは、葬儀業で培った地域の顧客基盤を活かし、不動産や飲食店、士業など、別の業種へ新規参入する「コングロマリット(多角化)」の道です。
しかし、どちらの道を選ぶにせよ、大手の圧倒的な広告量や資本力に対抗するためには、差別化が不可欠です。
そこで重要になるのが「1to1マーケティング」、すなわち「ファン客づくり」です。仕組み化しやすい広告戦略とは対照的に、スタッフ一人ひとりがお客様と深い関係性を築く「人の動き」は、大手ほど標準化が難しい領域です。
船井総研調べの調査によれば、会員と5回以上接触することで施行率が約15%高まるというデータもあり、お客様と「名前を呼び合える」ほどの深い関係構築こそが、これからの地域密着型葬儀社を守る最大の砦となります。
業界の動向や戦略と並行して、すべての葬儀社が取り組むべき内部課題も明確になっています。
一つ目は「生産性のさらなる向上」です。葬儀単価の下落により、施行件数が増えても売上が伸び悩むケースも増えています。今後は、分業化やシフト制の導入といった従来の取り組みの先にある、AIの活用が必要となります。例えば、相談内容の録音データからAIが自動で文字起こしや要約を行い、顧客管理システムへの入力時間を大幅に削減するといった活用が始まっています。実際に、生成AIを活用することで顧客情報の入力時間が2時間→30分に削減した葬儀社の事例も存在します。
第二に「M&A後のPMI(経営統合プロセス)」の重要性です。M&Aは成立がゴールではありません。特に地域性が強い葬儀業界において、買収した企業の従業員といかに信頼関係を築き、異なる文化を前向きに統合していけるかが、その後の業績を大きく左右します。
このPMIを丁寧に進められるかどうかが、M&A戦略の成否を分ける鍵となります。
プレミアムコンパクト葬経営研究会 12月例会
次回は12月12日(金・友引)、
1年の総決算である、研究会総会を予定しております。
場所は≪船井総研グループ 東京本社サステナグローススクエア TOKYO≫にて、リアルでの開催予定でございます。
こちらの総会は無料お試し参加も募集させていただいております!
お席に限りがございますので、お早めにお申し込みをお願いいたします。
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開催日程
2025年12月12日(金)11:00~16:30
開催場所
〒104-0028
東京都中央区八重洲2-2-1 東京ミッドタウン八重洲
八重洲セントラルタワー
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