いつもコラムをお読みいただきまして、ありがとうございます。
コロナの影響もあり、葬儀の形式が大きく変わる中、
ますます大事になってくるのが「会葬者に依存しない単価UP」です。
どういうことかと言えば、かつては会葬者の人数をしっかりヒアリングして
把握すれば単価がそれなりに取れていた、という過去もあったはずです。
「だいたいこれくらいの人数でしたら、祭壇はこれくらいで、料理は・・・」
というような形でご案内し、総額が150万円を超えていた時代です。
しかしながら昨今では会葬者が減少傾向にありますので、
会葬者数に合わせた葬儀の提案スタイルでは、単価は大きく下落してしまいます。
このような時流の中で単価UPを図るには、会葬者数によって変わる商品ではなく、
故人向け、あるいは喪主・遺族向け商品づくりとなります。
目次
実際に単価を見直そうとなったときにやるべきなのは、
①商品を見直す
②売り方を見直す
のどちらか(もしくは両方)になります。
①に関しては、たとえば故人向け商品とは故人にフォーカスした商品のことで、
湯かん、メイク納棺、オリジナル会葬礼状、棺回り生花などが該当しますが、
このような商品は取り扱っている葬儀社様も多いので、今回は②の売り方に関してお伝えいたします。
②の売り方の見直しは、「人数がこれくらいなんですね。それであれば・・・」
というような人数基準の提案型ではなく、
「故人様はこのような方だったんですね。それであれば・・・」
という形で、故人の人柄や好きだったこと、趣味、あるいは喪主・遺族の気持ちや最後に故人にしてあげたいことなどのヒアリングからご提案する方法です。
実際の商品というよりは想いや体験などの「価値」を提案することから、
このことを、“コト”売りと呼んでいます。
ただいきなり“コト”売りが重要と言っても、実際に提案するのは難しいというのも事実。
そこで今回は今すぐコト売りが実践できるための研修内容をご紹介します。
まず、社員の皆さまに下記のようなことを聞きます。
「いろいろプランがありますが、それぞれプランが上がるときにグレードが上がる商品の中で、自分が本当に必要だと思うものに〇を付けてください。」
これはたとえば、プランによってグレードが上がると言えば、
どの葬儀社様でも共通して「祭壇」「棺」「湯かん」「アルバム」などとなります。
これらをはじめからピックアップしておいて、
「担当者自身が身内にも勧めるくらい必要だと思うものはどれですか?」
という質問をするということです。
その中で、全部に〇が付いたものもそうでないものも含めて、
〇が付いた箇所すべてに対して「なぜ必要だと思うのですか?」と聞いて深堀りします。
この研修のポイントは2つあります。
1つ目は、発表者の本心をしっかり語ってもらい、聞き手はそれを吸収しようとすることです。そうすると、商品の売り方や考え方が多面的に身に着きます。
発表者が身内にも勧めるくらい本当に良いと思っているその背景や理由を他の社員様は聞くことで、
「自分は必要ないと思っていたけれど、こうやって感じる人もいるんだ。お客様にきちんと寄り添ってヒアリングして、もしこの商品が必要そうであれば提案してみよう。」
「自分もこの商品は必要だと思っていたけど、視点が違った。そういう捉え方もあるんだ。次の打合せで実践してみよう。」
など、今まで自分自身の視点になかった商品の価値を知ることができます。
本当に自分がお勧めする商品というのは嘘偽りない自分の言葉で語られます。
だからこそ、そういった本心の部分を多面的に聞いて自身の幅を広げ、
明日からの打合せで即実践できるという点です。
2つ目は、発表者に対して深堀りをしていくことです。
たとえば、
「私は、仏衣というものはとても価値があり必要だと思います。厚みや材質も全然変わってきますし、柄もついています。」
という回答に対して、
「厚みや材質が変わると、お客様(広く喪主、遺族、会葬者など)がどのようなメリットがありますか?それは目で見て違いがわかるくらい異なるものですか?」
と深堀りして聞いていきます。
そうすると、「たしかに目で見てはわからない、手で触ってしかわからないけれども、
それでも全然違っていて、故人様に対して尊厳ある送り方ができる」などの結論に至ります。
このように深堀りすることで、仏衣のセールスポイントである「厚み」「材質」というモノ売りから、
「より尊厳のある送り方」という“コト売り”に変わり、
よりお客様に価値を感じていただけやすくなったのではないでしょうか。
以上、小規模化が進む葬儀であっても、会葬者数に頼らない葬儀の提案をすることで単価UPが図れるという事例をご紹介させていただきました。
是非、皆さまの会社でも実践してみてください。