寺院経営に新しい風をもたらす「御朱印事業」。
御朱印事業は新たな参拝者とのご縁を生み、寺院経営を新たな角度から活性化できる可能性を秘めています。
前回のコラムでは、「なぜ今御朱印事業が注目されているのか」そして「知名度ゼロから半年で2,200枚を販売した成功事例」についてご紹介しましたが、
今回はその続編として、「住職一人でもできる御朱印販売の始め方」と「御朱印の寺院経営への活かし方」を具体的にお伝えします。
御朱印事業は、大掛かりな投資や人手を必要とせず、住職ご自身だけでも始められるのが大きな魅力です。
実際に成果を出しているお寺では、次の4つのステップで立ち上げを進めています。
・コンセプト設計
御朱印事業の成功は「コンセプトづくり」から始まります。
単に御朱印を作るのではなく、自坊ならではの物語やテーマを打ち出すことで、参拝者にとって特別な価値を持つ御朱印になります。
たとえば「四季折々の風景」「ご本尊の教えを表す言葉」「地域の伝統行事と連動したデザイン」などが考えられます。
コンセプトを明確にすることで、他のお寺との差別化ができ、遠方から訪れるファンを増やすことも可能です。御朱印は「参拝証明」ではなく「お寺の思想や魅力を伝えるメディア」であると捉えると、自然に独自性が生まれます。
・商品設計
御朱印には多彩な種類があります。墨書と朱印だけではなく、切り絵・箔押し・クリア御朱印など、現代的なアレンジも増えています。
こうした新しいデザインを取り入れることで、若い世代や観光客にも関心を持っていただけるだけでなく1人の方に複数の御朱印を購入いただくことができるようになります。
また価格設定も重要です。多くは1,000円前後から始められますが、特別な限定御朱印を用意して2,000円〜3,000円台で提供することで、根強いリピーターを獲得しやすくなります。
参拝者の「記念に残したい」「特別なものを手にしたい」という心理を意識して商品設計を行うことで、単発の購入からリピート購入へとつなげることができます。
・販促設計
御朱印事業の成否を分けるのが「販促設計」です。特にSNSの活用は欠かせません。
InstagramやX(旧Twitter)に御朱印の写真や制作過程の動画を投稿することで、まだお寺を訪れたことのない方にも興味を持っていただけます。
実際、御朱印販売に成功されている寺院様では販売の6割以上がネット経由という結果も出ています。
また、WEBサイトの整備も重要です。御朱印のデザインや授与方法を分かりやすく紹介し、オンラインで注文できる導線を作ることで、現地に来られない方からの需要にも応えられます。
SNSとWEBを連動させた情報発信により、全国にファンを持つことも可能です。
・販売チャネル構築
御朱印は「現地に来ていただいての授与」が基本だと思われがちですが、オンライン販売との組み合わせも成功のカギになります。
現地販売では参拝の動機づけにつながりますが、オンライン販売では遠方の方やリピーターを取り込むことができます。
どちらも組み合わせることで、安定した収益と幅広いご縁づくりが可能になります。
また、販売の際には「お寺に来てくださった方が他の御朱印やお守りも手に取れるような導線設計」や、「ネット注文でスムーズに発送できる仕組み」なども工夫すると良いでしょう。
大きな投資は不要で、住職一人でも運営できる仕組みをつくれる点が御朱印事業の魅力です。
このように段階を踏めば、限られたリソースでも持続的に御朱印事業を運営できます。
御朱印事業は単なる収益事業にとどまらず、寺院の存在を広く知っていただくための「ご縁づくり」でもあります。
例えば御朱印をきっかけに参拝した方が、後に法要や永代供養など他のご縁につながるケースも少なくありません。
また、SNSを通じて若い世代との接点を生み出せる点も見逃せないポイントです。
成功のためには、
・他寺院との差別化を意識した御朱印づくり
・SNSと連動した継続的な発信
・御朱印でつながった方を法要や永代供養などにつなげていくための取り組み
が欠かせません。
10月に開催のオンラインセミナーでは、こうしたノウハウをさらに詳しく解説します。
ぜひこの機会に、御朱印事業を自坊の経営に取り入れる一歩を踏み出してみてください。