去る10月19日に、寺院経営研究会10月度例会が、テレビ会議システムZoomを使用して、20か寺の住職様にお集まりいただき、オンライン開催されました。
今回は「檀家制度」をテーマに、神奈川県横浜市の妙法寺住職久住謙昭様にゲスト講師としてご登壇いただきました。
妙法寺様は、
・新しい「檀家・信徒制度」にリニューアルで、檀家・信徒が5年連続20件超増加!
・葬儀社からの紹介の施主様やホームページを通じた会員入会促進により檀家・信徒が継続的に増加!
・リニューアル後、檀家・信徒からの葬儀後の法事(一周忌・三回忌)依頼率は98%!
と、新たな「檀家・信徒制度」を作ることで成功されております。
今回のレポートでは、妙法寺様における「檀家・信徒制度リニューアル」の取り組みについて、講座講演録をまとめてお伝えいたします。
妙法寺がある地域では、直近10年間で、仏事に関して、大きな変化が生まれておりました。
・境内墓地よりも低価格かつ広大な「市営霊園」が多く存在
・公営霊園初の自動搬送式納骨堂がオープン
と、自坊の境内墓地の販売を通した新規檀信徒集めは難しい、という状況がありました。
また、地域住民にとって、お寺に仏事を頼む場合、葬儀は、葬儀社に紹介されたお坊さんに、四十九日忌法要は仏壇屋さんに紹介されたお坊さんに、納骨法要は霊園から紹介されたお坊さんに、と別々にご依頼するケースが増加しておりました。言い換えると、菩提寺さんと檀家さん、という関係性をベースにお付き合いする方が減ってきているともいえます。
このように、「万が一のときには、まずお寺に」という認識が薄い地域の状況下で、久住様が必要と考えたのが、「檀家制度自体の見直し」でした。
実際の見直しのポイントは、2つです。
・新しい「檀家・信徒制度」にリニューアルで、檀家・信徒が5年連続20件超増加!
・葬儀社からの紹介の施主様やホームページを通じた会員入会促進により檀家・信徒が継続的に増加!
・リニューアル後、檀家・信徒からの葬儀後の法事(一周忌・三回忌)依頼率は98%!
・境内墓地よりも低価格かつ広大な「市営霊園」が多く存在
・公営霊園初の自動搬送式納骨堂がオープン
「檀家制度自体の見直し」
「檀家墓地を購入しなくてもお寺とのお付き合いができる」
実際の見直しのポイントは、2つです。
従来、妙法寺の檀家になっていただく方の多くは、「葬儀社からの紹介」を受けて、葬儀後に檀家墓地を購入してもらい、檀家になってもらっていたそうです。
一方で、檀家さんではない方から、「檀家さんにならないと、妙法寺さんにお経をお願いすることはできないのかしら?」という声もいただくようになりました。
そこで、葬儀以外での入口を作れるよう、「檀家墓地を購入しなくてもお寺とのお付き合いができる」ような制度設計に直すことにされたそうです。
また、お寺とのお付き合いの仕方も、「檀家」のみとなると、「お寺にお墓があって、檀家としてお寺を支える寄付などもする」という非常に濃い関係になるのですが、それだけでは檀家さんになる人も減ってしまうと危惧されていました。
そこで、「お寺とのお付き合いの仕方」を3種類設定。
檀家墓地を持っている「檀家」、市営霊園など境内墓地には墓地を持っていないがお寺さんにいろいろお願いできる「妙法寺会員」、お寺とゆるくつながり、何か機会があったら依頼できる関係性として「おたより会員」と分けることで、お付き合いの仕方を選べるようにしました。
これらの甲斐もあって、檀家数・妙法寺会員数・おたより会員数は継続的に増加。
入会のきっかけも狙い通り、葬儀社からの紹介以外に「ホームページの閲覧者」「市営霊園の購入者」「仏教講座の受講者」と多様なルートからの入会が増加しました。
ここまでは、「檀信徒制度」という、制度のリニューアルという側面での取り組みをご紹介いたしましたが、「制度を新しくする」だけではない取り組みが、多くの檀信徒様を集め、離さずにいる、ということにつながっております。
「檀信徒ファースト」を目指して取り組んでいることの中から、1つご紹介いたします。
それは、「檀信徒様向けアンケートの実施」です。
数年に一度定期的にお盆前の5~6月頃に、全檀家・会員向けに、ノベルティとともにアンケートを送付しており、回収率は70%を超えます。アンケートでは、ご家族の情報確認や郵送物の送付先の確認をする項目、今感じられているお悩み(お寺との付き合い含め)、お寺への要望をお聞きされております。
回収は同封する返信用封筒での送付以外にも、お盆でお寺に来るまたはお寺からくる僧侶に渡す、といった形をとっております。
このアンケートから、檀家・会員様の情報の更新はもちろん、お寺への要望で叶えられるものがあれば順次対応し、対応した内容や意見を寺報に掲載して報告する、といった形で、多くの檀家・会員様のためによりよいお寺づくりを進められております。
このような取り組みから、継続的な檀家数増につなげており、護持発展を遂げられております。
以上、寺院経営研究会の10月例会にてご講演いただきました、妙法寺住職の久住謙昭様のゲスト講座のダイジェストレポートをお届けいたしました。
本コラムを通じて、貴山の経営のヒントになりましたら、幸甚に存じます。
次回11月25日(金・友引)にて、寺院経営研究会11月度例会を、船井総合研究所 東京五反田オフィスにて開催いたします。
次回は、「先進事例特集」と題して、寺院経営研究会にて取り扱ってきたテーマと事例をおさらいし、来年、その先にどのようなお寺を目指していくのか、また護持できるお寺づくりのためにどのような取り組みが必要となってくるのか、をお伝えいたします。
◆寺院経営研究会説明会 11月度 リアル開催決定!
寺院経営研究会は、2021年1月の開催から、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、オンライン開催を続けておりましたが、11月度の例会は、五反田オフィスにてリアルでの開催を決定いたしました。
講演や情報交換会など、臨場感高く、また情報の濃度も濃く、多くのインプット・アウトプットができる例会となります!
寺院経営研究会では、これまで新しいことに挑戦し、自坊の発展に成功された寺院様や現在いろいろな取り組みを実践し、次世代の寺院経営を目指されている寺院様が多く参加されており、そのような寺院様との交流できる「情報交換会」を設けております。
この時間を通じて、ほかの寺院様の成功事例を聞いたり、あなたのお寺でのお困りごと・悩みごとをご相談いただくことができます。
さらに、本研究会にご入会いただくと、隔月で寺院専門のコンサルタントにお気軽に相談いただくことができる時間を設けさせていただきます。研究会では相談できないような相談事がある場合、具体的に進めていく方法を知りたい場合など、ほかの寺院様に知られずにお話しいただくことができます。
新しいチャレンジには不安がつきもの。そのご不安を解消しながら、ご自坊の護持発展と地域活性化をともに目指す、それが寺院経営研究会です。
・自坊の収入増を目指し、持続可能な経営を実現したい
・地域にとってかけがえのない寺院を作っていきたい
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とお考えの方におすすめの勉強会となっております!
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