2013年5月08日更新
葬儀社でよく陥りがちな落とし穴の一つに、
自社の業務整理が良くできていないということがあります。
そのような会社に共通点は、一人当たりの生産性は高くないにも関わらず
「忙しくて新しいことができません。」ということです。
それでは企業として中々、成長することができません。
元来、企業というものは一人ひとりの従業員が年々、
成長し業務効率が上がり生産性が高まり、
そして、従業員さんの給与が上がっていくということにならなければ永続はしません。
葬儀業界の落とし穴は、「急に仕事が入ってくる」ということにあります。
だからこそ、中々、予定していたことが出来ない。
そして常に忙しいと感じる、といった具合です。
しかし、本当に常に「忙しい」のでしょうか?
おそらく多くの経営者の答えが「NO」。
常に忙しいのは繁忙期であって、
閑散期は何をしているかわからない時間が多くある、
といったところではないでしょうか?
私が見る限り「忙しい」という会社は1施行当たりの品質にバラつきがあります。
忙しい時は1施行に携わる人数が少なく、閑散期になれば
手の空いている人員全員が1施行に携わるという
状況になっているという場合が多く有ります。
そこで、私のお付合い先では「業務の棚卸し」を行っています。
施行が入った場合、どのような流れで1施行まで至るのか、
打合せから準備、掃除、何人の会葬者なら何人のスタッフが必要なのか。
そのようなことを一つ一つ棚卸し、施行のルール化を行っています。
そうすることで、手の空いた時間を作ることができ、
生産性の高い行動を行うようにすることができるようになります。
ぜひ、皆様の会社でも「業務の棚卸し」を行い、生産性を高め業績アップにつなげてみてはいかがでしょうか?
2013年1月23日更新
先日私のご支援先で月間施行件数の過去最高をたたき出しました。
喜んでいたのもつかの間、その月に施行したお客様からのクレームを頂いてしまいました。
「今回は親戚に、すごく評判が悪かったよ!」
「控室の荷物の移動ももう1時間早く言ってくれれば車に移動していた」
「棺がシャワー室から2階に用意しているのが見えて娘さんが怖がっていた」
「事情説明が遅い」
「親戚で会員に入るか考えていたものが入らなくて良かった」
「多分親戚は利用しないでしょう」
という言葉をもらったといいます。さらにこの喪主さんは民生委員をされており、比較的葬儀の仕事に近いところにいる方だったそうです。
これまでは宣伝をしてくれていたようですが、逆に悪評の宣伝が広がってしまうかもしれません。
この事例はとても貴重なものだと思いました。
顔なじみのお客様だからこそ、ここまでいろんなことを言ってもらえましたが、隠れたクレームはまだあるかもしれません。
この一件を聞いて感じたことが3つあります。
1.忙しい時の接客レベルがその会社のレベルである
以前、弊社の会長である小山が話していたことがあります。
小山は宝石業界を専門にコンサルティングを行ってきた人間です。
宝石店の接客において、通常時の接客は「良くて当たり前」、大切なのはセールなどで人がごった返しているときの接客レベルだといいます。ですから人がいないときのレベルをいくら上げてもダメだと。
今回のクレームの件は、それを裏付ける結果になったように思います。
過去最高の件数をたたき出したその月に接客レベルを維持できず、クレームが発生した。
そして「親戚は会員に入らない」「親戚は使わない」という直接の売上減につながるような結果になってしまったこと。
これはこの件数がこの会社の限界値であったことを意味しています。
2.組織作りは目標値をベースにおいて作ること
そして組織の作り方についても改めて考えさせられました。
葬儀業界において、一番かかる経費は人件費です。そして葬儀はいつ入るかわからないものであるからこそ、なるべく社員を少なくして派遣やパートスタッフで補うという会社が多いと思います。
ですが、このやり方でいくと施行対応力は現状のまま変わることがありません。今回の件のように一時的に増えた際の対応レベルがついて行かず、結局一段階上に行くことができないでしょう。
やはり人は先行投資として考え、目標件数を基本において、そこから逆算した社員数をしっかりと確保しておくことが大事です。
3.アンケート100%回収の必要性
そして3つ目がアンケート回収率100%を目指すということです。
これは仕組み自体を変えるという意味です。例えばお客様にお願いをして、何とか書いてもらうということと少し違います。
アンケートの回収スタイル自体はこれまでと同様で良いです。それはそれ自体で回収率の上下というバロメーターをしっかりと見ていくべきでしょう。
回収率100%にするという意味は、アンケート返信がなかったお客様に第3者がお電話にてお話をお伺いするということです。特に施行件数が多く忙しかった月のお客様は絶対です。
実は今回の件も、前回施行した時よりも集金が遅れているのが気になっていた社長が電話をかけてみたことから聞けたクレームでした。
表に出ていないクレームというのは実は一番怖く、フォローができないために確実な客数減につながってしまいます。
今回のような民生委員であったということは稀ですが、シニア世代の口コミの力は小さくはありません。特に口コミは悪いものほど広がりやすいものです。
潜在クレームをそのまま放っておくと、それが広がり件数アップへの妨げになります。
ちなみにこの会社では、施行後1ヶ月経った段階でアンケートの返信がない場合は、
社長がお電話にてお話をお伺いするというルールを作りました。
その他の会社ではサポート部が電話をするというところもあります。
アンケート100%回収によって潜在クレームを拾い上げる仕組みを作っておかなければ、会社の成長はありません。
2012年12月26日更新
右の写真は12月に船井総研のオフィスに突然現れたクリスマスツリーです。
出来上がった当初は特に気にしていませんでしたが、トイレに行く途中の壁に設置されたこのクリスマスツリーは必ず目に留まるものでした。
何度か通っている中で良く見てみると、ツリーに貼り付けられたそれぞれの紙には、サンキューメッセージが書いてあることに気付きました。
そして良く見ると、それはそのフロアに所属するコンサルタント一人一人に対してのスタッフさんからのサンキューメッセージでした。
そうとわかるとやはり自分の分も探してしまいます。
普段顔をあわせているスタッフからのメッセージですが、こうして改めて言葉を頂くとうれしいものです。
そして全員へのメッセージであることに気付いた私は、フロアにいたほかのメンバーにもそれを伝えました。勝手に口コミも広がり、全員が小さな感動をしていました。
手前味噌になってしまいますが、これは一体化に向けたすばらしい取組だと思います。
実はサンクスカードという取組はいろんなところでチャレンジされています。
ただ、それがなかなか継続しているところは意外に多く有りません。
理由としてはその「継続性」にあります。
最初は何となく言われてやってみたけど、そんなに毎日毎日感謝することも見つからない。
そうすると続かなくなってしまう。
続かないから仕組み自体が形骸化してしまい、逆に負の遺産のようになってしまいます。
今回は「クリスマス」という大義名分を生かし、ツリーに見立てて作られています。
つまり「クリスマスならではの取組」という印象があり継続性を前提としていません。
スタッフさんからの一つ一つのメッセージは、簡単なものではなく、それぞれが相手をイメージした具体的なものばかりでした。
この具体的なメッセージも、1回だからこそのものだから可能となるものだと思います。毎回毎回、あのボリュームのサンキューメッセージを書けといわれれば、簡単なものではありません。
スタッフさんは直接売上を作れる部門ではないため、その大きな役割は如何に売上を作る直接部門の生産性を高めるかにあります。
そのために事務作業を補佐したりという仕事が中心となりますが、直接部門のモチベーションを高めることが出来れば、それも生産性向上の役割を大きく果たすことが出来ます。
もちろんこの取組は、スタッフから直接部門へといった流れが限定ではなく、全社交えて何かのきっかけでやってみるのもよいですね。
2012年12月12日更新
日々、コンサルティングを行っていると、葬祭業はスタッフを育成するのが中々大変な職種であると感じます。
実際に入社して1年ぐらいたたないと担当者としてデビューできない。そんな葬儀社も多いのではないでしょうか?そのためあまり採用にもお金をかけることができず、あまり良い人財が入って来ない、という悪循環が会社の中で起こっているのではないでしょうか?
日々、コンサルティングを行っていると同じような悩みを抱えている葬儀社様は多く有ります。
そこで、私がオススメしているのは「行動分解」という手法。
メイン担当者としてデビューするまでの過程を徹底的に分解して行く。
お迎え→搬送→安置→打合せ→施行準備→施行(サブ、司会、出棺立会いetc)→アフターフォローまで全てを分解して、一つ一つクリアしていくようにテストの期日を設けます。例えば、12月15日は「お迎え」のテスト。それがクリアできれば、1月20日に「搬送」のテストなど。
このように分解してテストを全てクリアした者からデビューして行く仕組みを会社で作るようにしています。
そして、デビューした後も打合せ担当者としてレベルアップして行くために、担当者が行っている打合せを録音して、何をどのタイミングで話ししているかを分析し、勉強会を行っています。そうすることで、担当者としてデビューした後もレベルアップすることができます。
会社として人財を育成する仕組みさえ作ることができれば、少し採用にお金をかけ優秀な人財を取って成長させることができます。(新卒採用など)
是非、皆様もチャレンジして見て下さい!
2012年7月25日更新
直近決算で2割の売上アップを実現したS社様は、組織も着実に大きくなっています。
組織が大きくなるというのは、社長1人だけでなく、社長の分身の重要性が高まるということです。社長1人で管理するには限界があります。社長と同じ考えを持ち、指示、行動できる人間をどれだけ増やせるか、それがこれからさらに組織を大きくしていく上で肝になるところです。
組織が大きくなるにつれて、「一体化」していくことはどんどん難しくなります。一体化とは単なる仲良しとは違います。同じ価値観を持ち、同じ目標に向かって進んでいく集団が強い組織といえます。
少し前になりますが、2010年の南アフリカワールドカップのサッカー日本代表は、日本中の予想以上の結果を出しました。そのキーワードには「チームワーク」がよく取り上げられます。
変化のきっかけが「選手同士のミーティング」だったといいます。
その中で全員が認識した価値観が「自分達は下手糞である」ということ。出場している32カ国のなかで、自分達のレベルは下の方である。それを勘違いしてはダメ。だからどこよりもがむしゃらにやらなくてはいけない。
それが心を1つにしました。そしてこのチームには岡田監督が掲げたベスト4という明確な目標が常に存在していました。 結果的にはベスト16でしたが、過去の日本代表からすれば大躍進です。
結果だけを比較すれば、最も結果を残した大会であったといえます。
要はこの「価値観の共有」というのが肝になるのですが、これが言葉で言うほど簡単なことではありません。この時に役に立つのが「社長の言葉を紙に残す」という作業です。
会社の軸になる価値観は、社長の考え方であることには間違いありません。そしてその言葉はたびたび口に出しているでしょう。しかし、聴覚情報というのは、記憶に残りにくいのです。
そのため、それを紙に残し可視化させる必要があります。言葉が聴覚情報から視覚情報に変わります。そうすることで情報の記憶の可能性が高まります。
S社ではそのためにクレドを作成しています。ここには1つの社訓と9個の考え方が載っています。
社訓は頑張らない。頑張らせない。嘘を付かない。」
独特の言い回しが尚いっそう記憶に残ります。これは社員全員に浸透している言葉です。
こういった独特の言葉を使って、トップの考えを可視化させていく作業というのは、会社を一体化させるためには欠かすことの出来ないものです。
こういった社長ならではの言葉をそのまま載せる。さらに9個の考え方にも社長独自の言葉で語られています。そしてこの言葉は朝礼や会議など、あらゆる場で「共通言語」として語られるようになります。
組織が小さいうちはまだまだ必要ありませんが、企業規模3億円程度を超える頃から会社の軸となる考え方の「可視化」が必要になるのです。