2017年10月31日更新
(2017年5月FAXバックナンバーコラムより)
皆様、こんにちは。
長谷です。
3月にお送りさせていただいたFAX新聞では、
多角化経営の必要性について触れました。
今回は、まず葬儀業界の現状のおさらいからです。
今、葬儀業界で起こっている葬儀の小規模化による単価の下落に伴い、
売上や利益の縮小が進んでいます。
そんな市場の中、競合他社の乱立により、
シェアの奪い合いが激化していきます。
つまり、既存会員の他社流出が起こる危険が大いにあります。
自社の会員の他社流出や他社施行を防ぐためには、
会員のフォローが欠かせません。
ただ、会員フォローを徹底すればするほど、
今度は会員フォローの費用が莫大に膨れ上がり、経営を圧迫することになります。
その経営圧迫を防ぐ手立てが多角化経営、
つまり、新事業の付加ということを前回、お伝えいたしました。
ここまでで葬儀社にとって
多角化経営が必要なことはお分かりいただけたかと思います。
では、どんなビジネスを始めるべきなのでしょうか。
よくあるのは、花や、料理の内製化、
そして、仏壇仏具の販売などアフター部門の立ち上げでしょう。
これらの良いところは、既存の葬儀業に与える影響が大きいこと、
つまり、仏壇仏具のアフター営業で生涯顧客単価が増えることです。
ただ、これから必要になってくるのは、
生前から安定的に収益を上げられる事業です。
葬儀社の特徴は、何百何千もの会員名簿があることです。
その顧客基盤に対してあらゆるビジネスを提供し、
会員のプラットフォームになることが
今後も永続する企業には必要な要素になるでしょう。
その代表例が特徴的なCMでおなじみのライザップです。
ライザップは、パーソナルトレーニングの事業を中心に、
住宅や飲食、英会話など次々に事業を展開しています。
「自己実現欲求」が高い客層にターゲットを絞り、
ニーズに合わせた価値を提供しているため、
高額な商品・サービスでも顧客を集め続けることに成功しています。
葬儀社の場合、ターゲットとなる喪主世代、
対象者世代は高齢者になります。
その客層に対して提供できるサービスを考えてみましょう。
葬儀から逆算すると、
あげられるのが医療、介護、家事代行(生活支援)、見守りサービスなどです。
しかし、現実的に医療への参入は難しく、
介護業界は、飽和している状況です。
また、同時に考えなければならないことが、
葬儀とは、収益構造が全く異なる事業である必要があるということです。
葬儀は、自分の葬儀の場合、人生に一度、
家族の喪主をするのも数える程度でしょう。
つまり、購買頻度が低く、高単価のビジネスです。
一方、新しく始めるべきビジネスはというと、
購買頻度が高く(もしくは、定期的な消費)、
低単価なモノ・サービスである必要があるということです。
いわゆる“ストックビジネス”です。
そこで有力なのが、介護予防事業(健康産業)。
わかりやすくいうと、フィットネス事業です。
フィットネスで健康を維持し、元気なまま亡くなり、
そのまま自社で葬儀を行うという流れが実現できれば、
会員制度の付加価値にもなり、既存顧客の定着はもちろん、
フィットネス入会からの葬儀会員化も期待できるでしょう。
今回は、具体的に“フィットネス事業”についてご紹介いたしましたが、
他の事業を立ち上げる上でも、このような視点を持って考えてみてください。
2017年6月09日更新
(2017年3月FAXバックナンバーコラムより)
皆様、こんにちは。
今月号より新しく執筆させていただきます
長谷(ハセ)でございます。
さて、そんな第1回は、「なぜいま多角化経営が必要なのか」
というテーマでお伝えさせて頂きます。
突然ですが、皆様の会社では、会員様が確実に自社で施行されていますか?
会員数は多いが、会員の施行が少ないという意識はありませんか?
おそらく会員の他社流出が起こっており、
それを防ぐために多くの会社様が会員向けのイベントの開催や
会報誌などの発刊を実施されていることと思います。
それでは、次の質問です。
その会員フォローのためにいくらの費用をかけていますか?
事前相談により、会員数が増えることはもちろん必須ですが、
会員数が増えれば増える程会員のフォローに
莫大な費用を費やすことになります。
人口の高齢者比率が伸び続けているため、相談者数、会員数、
死亡人口は増えていくことでしょう。
しかし、家族葬、直葬比率の伸びからも葬儀の小規模化が進んでいるのは明らかで、
施行の単価は下がっていきます。
つまり、施行件数を伸ばすために、会員数を増やしていた今までの状態から、
会員数を増やすために施行件数を増やすような状態へ変わりかねません。
こうなってしまうと本末転倒。
それでは、どうすればいいのかという疑問が生まれます。
それを解決するのが今回のテーマでもある多角化経営です。
そもそも葬儀業界はライフサイクルでいうところの成熟期。
そしてこれから衰退期に差し掛かります。
衰退期に必要なことは、経営資源の再分配です。
市場の成長率が期待できないため、営業効率を上げ、
大きな投資をしないことが大切です。
そして、次に行うのは、市場が成長している事業に目を向け、
そのために資金を確保しておくことが求められます。
多角化経営を進めることで、
(1) 経営資源を最適化する
(2) 既存事業とのシナジー効果ができる
(3) リスク分散ができる
以上のことが可能になります。
新事業を検討するうえで、特に重要なことが、
上記の(2)「既存事業とのシナジー効果が期待できる」ということです。
新事業を始めてもそれが本業である葬儀業の売上を作れるものでなければいけません。
つまり、その事業が「1+1=2」というビジネスではなく、
3にも4にもなるような相乗効果を生み出す事業であることが重要です。
さらに、葬儀社の場合何百、何千人の会員のフォローをするために
費やしている分の利益ができ、新規のお客様が葬儀の会員に入会することが理想です。
次回は、その具体案をご紹介いたします。
2016年8月31日更新
皆様
こんばんは。大道でございます。
いつもブログをご愛読いただきまして誠にありがとうございます。
本日は【有料会員制度のその先を考える】というタイトルでお話しさせていただきます。
先日、弊社主催の葬祭業向け経営研究会にとある優良住宅リフォーム会社の社長様に
ゲストとしてご講演いただきました。
テーマは葬儀業界で今旬の「アフター」について。
葬儀業界と同じように購買頻度が低く、単価が高い商売をしている同社では
20年も前から会員制度に力を入れ続けてきたといいます。
そして、リフォーム後のリピート率は、
一般2%に対して会員12%と大きく開きがあります。
このように、購買頻度が低く、単価の高い商材やサービスを扱っている事業者は
このリピート率というところにこだわっていかなければなりません。
実際、同社はただ会員登録をするだけではなく、
半年に一回の会費をいただくかわり、数十ものリフォームサービスや点検などが無料で
できるなどのサービスを付加して、お客様との接点を増やしています。
それが大きく会員様のリピート率につながっているわけです。
では、葬儀業界の会員制度はいかがでしょうか?
現在は、会員価格で葬儀の施行ができる。
たとえば、回忌の花や、提携店制度の付加など、それよりも進んでいる会員制度だとしても、
月会費や年会費などの料金を支払ってまで受けるような真の意味での有料会員制度を、運営で来ている葬儀社はなかなかないでしょう。
今回、同社の講演をお聞かせいただき、葬儀業界の会員制度も一歩先に行かないといけないと感じました。
ライフエンディングステージにおいて、高頻度でお客様と接せるかつ、
料金をお支払いただけるようなサービスを展開していかなければいけません。
株式会社船井総合研究所
エンディングビジネスコンサルティングチーム
経営コンサルタント 大道 賢作
2016年8月21日更新
皆様
こんにちは。船井総研の野町でございます。
本日は、「 アフターサポートで生涯顧客単価アップ 」をテーマにお話しできればと思います。
近年、葬儀社の単価が下落している事は、皆様もひしひしと感じられている事かと思います。
地域によって、まだ一般葬が多く単価の下落もあまり見られないという方もおられるかと
思いますが、これより先は必ず単価は下がってきます。
私たちのお付き合い先の数字を見ていると、約3%年々下落してきている会社もあります。
さて、そんな時にだからこそ、考えないといけない考え方が「 生涯顧客単価発想 」です。
生涯顧客単価発想とは、今まで考えられてきた客単価=葬儀単価ではなく、客単価=葬儀単価+アフター売上という事です。
しかしながら、担当者が忙しかったり、まかせっきりになっていたりとあまり注力できていないという声をよく聞きます。
実際の所、アフターサポートをテーマに強化しはじめた葬儀社様の数字を見ていると
強化する前の4か月と強化をはじめてからの4か月のアフター売上では、平均1.5倍もの結果が早くも出ております。
もちろん、今までとは違い時間がかかる場合もありますが、
担当者様の声としては、しっかりとアフターサポートをすれば、お客様から「〇〇もやって欲しい」と依頼を頂けるとのこと。
”ただ、いかなくてはならない”からアフターに行くのではなく、
”アフターサポートをさせていただく”ためにアフターに行く。
この考え方ひとつでも、結果は大きく変わってくるのかも知れませんね。
ではまた。
ありがとうございました。
2015年9月30日更新
こんにちは。
フューネラルビジネスコンサルティングチームの赤荻です。
9月も終わりに近づき、涼しい時期になりました。
お彼岸も落ち着きいよいよ年末に向けて準備する時期に入ったように思います。
いつもどおりの営業活動はおろそかにせず、
今年の年末もしっかりと営業計画に取り組んでいきたいですね。
さて今回はホームページやお電話からの
問い合わせ後から施行までのフォローについてお伝えさせていただきます。
問い合わせ後から施行までのポイントは3つあります。
(1)問い合わせ対応で差別化する
(2)問い合わせ資料で差別化する
(3)アポイントを取りにいく
もちろんホームページをリニューアルするなどの方法で
問い合わせをもらうことは大切です。
しかし資料請求や見積もりの問い合わせをもらっても、
それが施行につながらなければ意味がありません。
最近では資料請求による相見積もりも普通になってきました。
お付き合い先では10社以上の葬儀社ならびに紹介サイトで
見積もりをされた方を施行された会社様もございます。
それほど資料請求後の差別化が求められるようになりました。
それを可能にするのが上記の3つのポイントです。
(1)問い合わせ対応で差別化する
まず「問い合わせ対応」ですが、最初の問い合わせはもちろん、
インターネットから資料請求の依頼を受けたら
必ずこちらからお電話差し上げるようにします。
どういうことを伝えるのかというと、
資料請求のお礼と検討されている葬儀内容についての
詳細をお聞きすることです。
そうすることで丁寧な印象を与え、
さらに次回事前相談のときに提案するための材料になります。
ただ資料請求を受けて送付するだけで
良い印象を与えることはほとんどなくなりました。
まずは最初の段階で相手に好意を持たれる動きを大切にしましょう。
(2)問い合わせ資料で差別化する
次に、その後お送りする資料でも差別化しなければなりません。
プラン表や会館案内といった資料はもはや必需品です。
では差別化するポイントはどこなのか?
それは「共感」と「安心」です。
人は「共感」するときに行動します。
結局、プラン表も会館案内も差別化するツールではありません。
確かに価格力の差別化を表現するのはプラン表であり、
施設力の差別化を表現するのは会館案内です。
そういうポイントを抑えていることが重要です。
そしてそれに加えてもっとも大きな武器になるのが「コンセプト」です。
「コンセプト」は会社の想いです。
会社の想いを伝えることで、
会社の想いを好きになってもらう可能性ができます。
会社の想いを好きになると「この会社いいな」と会社を好きになります。
この点で「共感」という訴求ポイントは重要なのです。
また「安心」というのはうちの会社はどういうところなのかということを
伝えることで生まれます。
会社案内に従業員の写真を加えることや、
手書きや専用のお見積書などを付け加えることでオリジナリティを発揮し、
手間をかけているなという「感」を伝えます。
だからしっかりしている会社だという印象を与えることができ、
それが「安心」につながります。
(3)アポイントを取りにいく
そして資料請求でもアポイントは必ず取りにいきましょう。
資料請求から事前相談に落とし込むことで、
相手と対面するという圧倒的な優位性が発生します。
いざというときは顔を知っているほうが安心するものです。
さてこのアプローチですが、実は資料請求後3回やっている会社様があります。
もちろんただ電話するだけではしつこいと思われてしまいます。
そこで大切にしているのが「電話をしている理由を必ず作ること」です。
それは会社の想いにリンクしています。
「資料の到着を確認させていただきたくお電話いたしました」や
「ご不明点はございませんでしたでしょうか」など、
お電話した理由を付け加えることで相手に不快感を与えずにすみます。
そしてその次に、事前相談したほうが良いことを伝えます。
まずは相手へのメリットを訴求します。
「事前相談するとその場でご不明点を解決できますよ」という具合です。
そして次は「ご家族様とお話させていただくと
皆様にご納得していただくことができます」というような形です。
要するに相手への訴求ポイントをずらすのです。
そうすれば「じゃあ・・・」という可能性も生まれます。
同じところに何度も繰り返しても、それこそクレームの原因になりかねません。
こうして何度もアプローチして、一定の回数行ったら
見込み客リストからはずします。
時間だけをとられないよう、あくまで見込みのありそうなお客様に
絞りましょう。
上記のようなポイントを踏まえることで、
資料請求後の施行率は20%以上も増加します。
要点を押さえて、しっかりと施行までつなげていきたいですね。